室長の週刊ミュージックカラー
“色”を愛でること40年。『FASHION COLOR』も統べる会社の屋台骨・企画室の室長による色を感じる音楽案内。
#02 類似色相・類似トーンを分かつ巧妙な黒
MOZART「ピアノ協奏曲 20番, 27番」
ハロー、室長です。今回は、大人の教養・モーツアルトについて。
私はクラシックには詳しくないのですが、少ない音楽体験の中から、これはいいというものを挙げるとすれば、モーツアルトのピアノ協奏曲の20番から27番まで。モーツアルトのピアノ協奏曲の後期のものはとびきりの名曲ばかりです。様々な音楽家が録音していますが、私が好きなのは、フリードリヒ・グルダのピアノ演奏で、ウィーン・フィルをクラウディオ・アバドが指揮しているもの。録音は1974年です。
グルダがピアノを弾くモーツアルトのピアノ協奏曲は老舗レーベル・グラモフォンから2枚に分けて発売されていたのですが、このアルバムは2枚組にされたものです。20番・21番・25番・27番が入っているのですが、1枚目に20番が入っていて、2枚目に27番が入っています。茶色のピアノの写真と黄土色の類似色相、類似トーンの配色ですが、境目に黒い影を入れセパレーションした明快な配色。このレコードの音楽のイメージをよく表していると思います。
20番を挙げたのはもちろん素晴らしいからですが、ちょっと面白い特徴があるからです。実は第一楽章の中の旋律に「何コレ!」と思わず驚いてしまう、日本の演歌に使えそうな旋律があるのです。聴いたことのない人はぜひ聴いていただきたい。本当におもしろいんです。クラシックの中に演歌のような旋律が入っているのですから。
27番はモーツアルト最後のピアノ協奏曲です。他のピアノ協奏曲とはかなり感じが違い、かなりシンプルというか、達観しているというか。記録によりますと、この曲は1791年1月5日に完成したということですが、モーツアルトはその年の12月5日に35歳で亡くなっています。27番を作曲している時にモーツアルトは、間もなく自分が死ぬことがわかっていたのでしょうか。そういった想いで作曲していたように私には感じられてなりません。
それにしてもモーツアルトは、よくあれだけ次々と様々な旋律を造ることができたものだと感心します。モーツアルトの作曲のスピードから考えると、あれこれ考えて作曲したというのではなくて、もともと自分の中に曲があって、それを譜面に書いていったという感じです。とはいってもピアノ協奏曲27番は1788年頃に第1楽章を手がけて1791年に完成したということですので、モーツアルトといえども苦労していたのでしょう。
モーツアルトが生きていた頃は、モーツアルトの作曲するような音楽は上流階級の人しか聴くことができませんでした。現在のようにレコードやCDといったもののない時代ですから、演奏会に出かけて聴くしかない。今では私のような普通の庶民でもモーツアルトを聴くことができます。自分が死んでから200年後の一般庶民、ましてはるか遠い極東の人が自分の造った音楽を聴くなんて、考えたことがあったのでしょうか。おそらくそんなことは考えもしなかったのではないでしょうか。
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